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2026-06-24

観光大国スペイン・シンガポール・タイのDX化。日本の観光施設が取り入れられることとは。

作者:ikura インバウンド総合研究所 沼田

問い合わせは自分の言語でやりとりでき、予約から支払いまでをスマートフォンで完了する。チェックイン前にメッセージを送れば、すぐに返事が届く。世界の観光大国では、こうした対応はもはや特別なサービスではなく、旅行者にとって当たり前の体験になりつつあります。

一方、日本の観光施設では、こうした対応がまだ十分に整っていない現場も少なくありません。人手不足や言語対応、決済環境などの課題があり、すぐに体制を整えることも難しいのが実情です。旅行者が海外で慣れているサービス水準との間には、まだギャップがあります。

2025年の訪日外国人数は4,268万人(前年比15.8%増)、消費額は9兆4,549億円(前年比16.4%増)でした(JNTO/観光庁 )。数字は過去最高を更新し続けている一方で、旅行者がどれだけスムーズに安心して旅行を手配できるかという視点で世界の観光大国と比べると、日本にはまだ対応すべき点が残されています。

スペイン:予約から決済まで、現地窓口はもういらない

年間約1億人が訪れるスペインでは、観光施設のチケット購入は完全にオンラインへ移行しつつあります。バルセロナのサグラダ・ファミリアでは、チケットは公式アプリもしくはWebサイトからのみ購入が可能で、チケットはQRコードで発行されます。公式アプリには19言語対応の音声ガイドが用意されており、購入から訪問、音声ガイドの利用までを人を介さずに行うことができ、現地で言葉が通じない、お釣りが出ない、カードが使えないといった不安や手間が起きにくくなります。

スペインで注目したいのは、大手ホテルチェーンだけでなく、独立系ホテルにもデジタル化の選択肢が広がっている点です。バルセロナ発のテクノロジー企業は、ウェブサイト管理、予約エンジン、チャネル管理、決済システムなどを統合したプラットフォームを提供し、小規模ホテルの運営効率化を支援しています。限られた人員でも予約・決済・顧客対応の導線を整え、OTAに頼りすぎず直接予約を増やすための仕組みとして活用されています。同社のプラットフォームは1万5,000以上の宿泊施設で利用され、30億ユーロ規模の予約売上につながっていると報じられています(Travel And Tour World)。

シンガポール:国を挙げてホテルのデジタル化を後押し

シンガポールでは、政府機関と観光局が連携し、ホテル業界向けのデジタル化ガイド「Hotel Industry Digital Plan」を提供しています。同計画は、ホテル事業者が自社の課題に応じてデジタル化の機会を見つけ、必要なソリューションを段階的に導入するためのロードマップです(SMEs Go Digital「Hotel Industry Digital Plan」)。

2025年には同計画の更新版についても報じられており、スマートルーム、ロボティクス、デジタルコンシェルジュ、デジタルチェックイン・チェックアウト、設備管理システムなどの導入が重点領域として示されています(The Straits Times・2025年9月)。

タイ:政府が外国人旅行者専用のe-ウォレットを提供

タイ観光局(TAT)は2025年3月、外国人旅行者専用のe-ウォレット「TAGTHAi Easy Pay」の提供を開始しました。パスポートを提示してプリペイドカードを受け取るだけで、タイ全国でThaiQR Paymentが使える仕組みです(TAT Newsroom・2025年3月)。

TATが運営する「TAGTHAi」アプリは観光サービスの検索・購入・決済をアプリ上で完結しやすくする設計になっています。2024年に200万ダウンロードを超え、ユーザー数は前年比105%増、売上は183%増を記録しました(TAT Newsroom・2025年3月)。予約、決済、現地での利用をアプリ上でつなげることで、旅行者が迷わず使える導線を設計している点が、利用拡大の背景にあると考えられます。

3カ国に共通すること、日本がこれから取り入れられること

スペイン・シンガポール・タイに共通しているのは、多言語対応、オンライン予約、決済、問い合わせ対応を個別の機能としてばらばらに導入するのではなく、旅行者の行動に沿って一つの導線として設計している点です。

旅行者からの問い合わせにどれだけ早く対応できるかは予約や相談につながる機会を左右します。旅行者に限った調査ではありませんが、InsideSales.comとMITの「Lead Response Management Study」では、問い合わせから5分以内に対応した場合、30分後に対応する場合と比べて見込み客への接触可能性が100倍、その後の予約や商談につながる可能性が21倍高くなるとされています。

一方、日本の観光現場では、人手不足が大きな課題となっています。宿泊業の有効求人倍率は2.53倍、旅館・ホテルの正社員不足は60.2%とされており、人員を増やすだけで対応品質を高めることは簡単ではありません(厚生労働省「一般職業紹介状況 令和7年6月分/帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」)。だからこそ、人の対応を補完しながら、テクノロジーで問い合わせ対応や予約導線の品質を底上げすることが、日本の施設にとって現実的な前進策になります。

AIインバウンド対応で出来ること

私たちikuraは、WhatsAppを通じて訪日外国人からの問い合わせ・予約・決済・フォローアップを50カ国語で24時間自動対応するAIエージェントです。Meta社のテックプロバイダーとして、シンガポールやタイの施設がすでに実現していることを、日本の現場でも実現できます。

サグラダ・ファミリアのように、チケット購入から音声ガイド、当日の入場までをデジタル上で完結できる仕組みは、旅行者の体験を損なうものではありません。むしろ、現地での不安や手間を減らし、旅行者が本来の体験に集中できる環境をつくります。日本の観光施設でも、こうした考え方を取り入れることで、限られた人員でも対応品質を高めていくことができます。

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