お役立ち情報

2026-07-28

AIに発見され、旅行者に選ばれるために。生成AI時代に観光事業者が整えたい情報と対応体制

作者:ikura インバウンド総合研究所 沼田

ChatGPTやGeminiに旅行の相談をしながら宿や訪れたい場所を決める。そんな旅行者が増えています。今までSEO対策に力を入れてきた事業者も、これからはAIにどう紹介されるかを意識する必要が出てきています。

ただし、AIに紹介されるだけで、すぐに予約や来訪につながるわけではありません。AIを通じて施設を知った旅行者が、その後も安心して検討を進め、問い合わせや予約に移れる状態をつくる必要があります。

今回は、AIに選ばれる観光事業者にどのような対応が求められているかを、最新のデータをもとに整理します。

旅行計画でのAI活用が、情報収集から比較・予約へ広がっている

旅行者の行動はすでに変化しています。

PwCが2026年4月に米国の成人2,060人を対象に実施した調査では、44%が価格の比較や割引探しにAIを「頻繁に」または「常に」利用していると回答しました。また、42%が旅行先や旅行商品の調査にAIを活用し、3人に1人が旅行の一部をAIエージェントやボットを通じて予約していると答えています[1]。

特にZ世代やミレニアル世代でAIの活用が進んでおり、旅行支出を増やす予定の人ほど、旅行先の調査や価格比較、予約にAIを利用する傾向が見られました[1]。

AIは、旅行のアイデアを得るための情報収集ツールにとどまらず、候補の比較や予約を支える手段としても使われ始めています。観光事業者にとっては、検索結果で見つけてもらうことに加え、AIが旅行者への回答をつくる際に、自社の情報が適切に参照される状態を整えることが重要になっています。

AIを使った比較が増えるほど、情報の正確さが重要になる

旅行者がAIを使って複数の施設やプランを比較するようになると、観光事業者がWeb上に公開している情報の正確さと一貫性が、これまで以上に重要になります。

例えば、施設名、所在地、料金、営業時間、予約条件、対応言語、設備などの情報が、公式サイト、OTA、Googleマップ、観光局のサイトなどで異なっていれば、AIが正確な回答を組み立てにくくなる可能性があります。旅行者自身も、媒体によって情報が異なれば、不安を感じて検討を中断するかもしれません。

また、AIが提示した候補に興味を持った旅行者は、公式サイト、写真、クチコミ、地図なども確認しながら、予約するかどうかを判断すると考えられます。

AIに紹介されることは、旅行者との接点の始まりにすぎません。その後の比較や確認に耐えられる情報が揃っていることが、予約や来訪につなげるための土台になります。

SEOに加えて、AIからの発見も意識した情報整備へ

生成AIが旅行先や宿泊施設の候補を提示するようになるなか、Web上の情報をAIの回答にも適切に取り上げられる形に整える「GEO(Generative Engine Optimization)」という考え方が注目されています。

GEOは、生成AIを使った検索や回答サービスにおいて、自社の情報が発見・参照されることを意識した取り組みです。ただし、従来のSEOが不要になり、GEOへ完全に置き換わるということではありません。

Googleも、生成AIを活用した検索において、従来のSEOの基本が引き続き重要だと説明しています。AI検索向けの特別なファイルやマークアップを用意することよりも、明確なサイト構造をつくり、旅行者にとって役立つ独自性のある情報を、検索エンジンが取得できる状態で公開することが基本になります[2]。

つまり、GEOはSEOとは別の特殊なテクニックではなく、旅行者の疑問に答えられる正確な情報を整理し、検索エンジンや生成AIが理解しやすい状態にする取り組みと考えるのが現実的です。

現場で積み重ねるべき具体策

観光事業者がまず取り組みたいのは、公式サイトやGoogleビジネスプロフィール、OTAなどに掲載している基本情報の確認です。Googleも、Googleビジネスプロフィールなどを通じて正確な事業情報を管理することが、生成AIを含む検索結果で商品やサービスを表示するために役立つと説明しています[2]。

所在地、営業時間、料金、予約方法、キャンセル規定、アクセス、対応言語、設備などが、媒体をまたいで一致しているかを確認します。変更があった場合には、一部の媒体だけを更新するのではなく、旅行者やAIが参照する可能性のある情報をまとめて見直す必要があります。

公式サイトでは、施設やサービスを紹介するだけでなく、旅行者が予約前に抱きやすい疑問に、具体的に答えることも重要です。

例えば、次のような情報です。

  • 最寄り駅や空港からの具体的なアクセス方法
  • 荷物を預けられる時間や条件
  • 子ども連れや高齢者でも利用できるか
  • 食物アレルギーや食事制限への対応
  • チェックインが遅れる場合の対応
  • エレベーター、階段、バリアフリー設備の有無
  • 体験や客室に含まれるもの、含まれないもの
  • キャンセルや日程変更の条件

こうした情報をFAQや利用案内として整理しておけば、旅行者が確認しやすくなるだけでなく、ページの内容や構成も分かりやすくなります。

写真についても、単に枚数を増やすのではなく、旅行者が実際の滞在や体験を具体的に想像できる内容を揃えることが大切です。Googleも、生成AIを活用した検索では、テキストに加えて質の高い画像や動画を掲載することが、Webサイトの情報を発見してもらう機会につながると説明しています[2]。

客室、食事、外観、入口、共用部分、体験場所などを偏りなく掲載し、写真と現在のサービス内容が一致しているかも定期的に確認します。

地道な作業に見えますが、これは規模の大小に関わらず取り組めることでもあります。

AIによる発見を予約につなげるには、問い合わせ対応も欠かせない

公式サイトやクチコミを確認した旅行者が、知りたいことをすべてWeb上で見つけられるとは限りません。

「子ども連れでも参加できるか」「大きな荷物を預けられるか」「宗教やアレルギーに応じた食事に対応できるか」「到着が遅れてもチェックインできるか」など、予約の直前には旅行者ごとの個別の疑問が生まれます。

特に訪日旅行では、時差や言語の違いにより、日本の施設の営業時間外に問い合わせが届くこともあります。旅行者が複数の施設を比較している途中で質問への回答を得られなければ、回答を得やすい別の候補へ移ってしまう可能性があります。

WhatsAppは、世界で30億人を超える人々に利用されています[3]。海外旅行者にとって、普段から使い慣れたメッセージアプリで施設へ質問できることは、問い合わせの負担を下げる方法の一つです。

重要なのは、応答速度がAIからの評価を直接高めるということではありません。AIをきっかけに施設を知った旅行者が、疑問を抱えたまま離脱することなく、安心して次の行動に進める状態をつくることです。

増え続ける訪日旅行者に、限られた人員でどう対応するか

訪日外国人観光客は2025年に4,268万3,600人となり、過去最高を更新しました。前年比では15.8%の増加です[4]。

また、2025年の訪日外国人旅行消費額も9兆4,559億円となり、前年から16.4%増加しました[5]。

訪日需要が拡大する一方で、宿泊業では人手不足が深刻な課題となっています。観光庁が実施した宿泊業の人材確保・育成に関する調査でも、観光需要の急速な回復に伴い、宿泊業の人手不足が顕著になっていると指摘されています[6]。

限られた人員で24時間多言語の問い合わせに丁寧に応えるのは、現実には難しい状況が続いています。

「発見される」「信頼される」「予約につなげる」を一つの流れに

ここまで見てきたように、AIを活用した旅行計画に対応するための取り組みは、大きく三つの段階に整理できます。

一つ目は「発見される」ことです。AIや検索サービスが参照できるよう、正確で最新の情報をWeb上に公開します。

二つ目は「信頼される」ことです。AIの提案を見た旅行者が、公式サイト、写真、クチコミ、地図などを確認した際に、安心して候補として検討できる状態をつくります。

三つ目は「予約につなげる」ことです。旅行者から個別の問い合わせが届いた際に、適切な言語で速やかに回答し、予約や来訪へとつなげます。

情報を整えても、旅行者の最後の疑問に答えられなければ、予約にはつながりません。反対に、問い合わせへの対応体制が整っていても、旅行者やAIが参照できる情報がなければ、施設を知ってもらう機会自体が生まれにくくなります。

情報整備と問い合わせ対応は、別々の施策ではなく、AIによる発見を実際の予約や来訪につなげる一連の取り組みです。

訪日旅行者からの問い合わせを24時間支える「AIインバウンド担当」

私たちikuraは、このうち、主に三つ目の「問い合わせから予約・来訪につなげる」段階を支援しています。

ikuraの「AIインバウンド担当」はWhatsAppと連携し、訪日外国人からの問い合わせ、予約、決済、来訪前後のフォローに、50言語で24時間対応する多言語AIエージェントです。

施設が持つ情報をもとに、旅行者一人ひとりの質問に応じた案内を行い、スタッフの営業時間外にも旅行者との接点を維持します。

AIに発見されるための情報整備と、発見後の旅行者を受け止める対応体制。その両方を整えることが、生成AI時代の集客を実際の予約や来訪につなげる一歩になります。

無料デモ・お問い合わせはこちらから👇
https://www.ikura.io/

出典

[1]PwC, “Summer spending trends 2026”
2026年4月14日から16日に、米国の18歳以上の成人2,060人を対象に実施した調査。
https://www.pwc.com/us/en/industries/consumer-markets/library/summer-spending-trends-2026.html

[2]Google Search Central, “Optimizing your website for generative AI features on Google Search”
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide

[3]Meta, “It’s Time to Reserve Your WhatsApp Username”
2026年6月29日公開。WhatsAppの利用者が世界で30億人を超えることを記載。
https://about.fb.com/news/2026/06/its-time-to-reserve-your-whatsapp-username/

[4]日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2025年12月推計値)」
2026年1月21日公開。
https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html

[5]観光庁「インバウンド消費動向調査2025年暦年(速報)及び10-12月期(1次速報)の結果について」
2026年1月21日公開。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00071.html

[6]観光庁「令和6年度 宿泊業の人材確保・育成の状況に関する実態調査事業 報告書」
2025年3月公開。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001891438.pdf