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2026-06-30

インバウンド対応の人手不足をテクノロジーで補う体制作り

作者:ikura インバウンド総合研究所 沼田

訪日外国人数が過去最高を更新し続ける一方で、受け皿となる観光事業者の現場では対応が追いつかないという声がよく聞かれます。外国語での問い合わせに十分対応できない、、夜間に連絡が来てもすぐに対応できない、スタッフを増やしたくても採用が追いつかない。こうした状況は、もはや一部の施設だけの話ではありません。

本記事では、インバウンド対応における人手不足の実態を数字で確認しながら、テクノロジーを活用した具体的な解決策を整理します。

訪日外国人数は過去最高、受け入れ体制には課題も

2025年、日本を訪れた外国人旅行者は4,268万人に達し、過去最高を記録しました(JNTO 訪日外客数2025年12月推計値 https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html)。消費額も9兆4,549億円と、前年比16.4%増の過去最高水準です(観光庁 インバウンド消費動向調査2025年暦年 https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00071.html)。

政府は2030年に訪日外国人6,000万人・消費額15兆円という目標を掲げており(観光庁 観光立国推進基本計画 https://www.kankokeizai.com/2602100630kks/)、市場としてのポテンシャルはさらに拡大していきます。しかし、数字が示す恩恵の一方で、現場の受け入れ体制は需要の伸びに対応しきれていないのが実情です。

観光庁が実施した令和6年度の調査では、「旅行中に困ったことはなかった」と回答した割合は改善し、半数超えたものの、残る半数近くは何らかの不便を経験しています。特に飲食店でのスタッフとのコミュニケーションに困ったという回答が都市部・地方部とも約50%にのぼりました(観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査」2025年 https://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_00022.html)。

業界データが示す人手不足の深刻さ

宿泊業・飲食業における人材難は、統計データに明確に表れています。

帝国データバンクが2025年1月に発表した調査によると、ホテル・旅館の正社員が不足していると回答した事業者は60.2%に上りました(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」 https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250221-laborshortage202501/ ※業種別データは同レポート内の図表を参照)。

有効求人倍率を見ると、2025年6月時点で宿泊業・飲食サービス業(接客・給仕職業従事者)は2.53倍(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年6月分)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59944.html ※業種別データは同レポート内の図表を参照)となっており、求職者1人に対して2.5件以上の求人が存在する計算です。採用市場は明らかな売り手市場であり、スタッフを確保するだけでも困難な状況が続いています。

さらに構造的な問題もあります。宿泊事業者の78%が従業員10名以下の小規模事業者です(観光庁「観光DX推進による観光地の再生と高度化に向けて(最終取りまとめ)」2023年3月 https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/kanko-dx/content/001596701.pdf)。多言語対応ができる専任スタッフの確保に苦慮している施設も多いのが実情です。

人手不足と機会損失

スタッフが足りないことは、単なる業務負荷の問題ではありません。対応の遅れや言語の壁は、直接的な収益機会の喪失につながります。

観光業界に限った調査ではありませんが、InsideSales.comとMITの「Lead Response Management Study」では、問い合わせから5分以内に対応した場合、30分後に対応する場合と比べて、相手とつながる確率が100倍、その後の商談候補として確認できる確率が21倍高いとされています。(InsideSales.com / MIT, "Lead Response Management Study" 2007年発表 https://www.onecavo.com/wp-content/uploads/2015/11/MIT-InsideSales.com_Lead-Response-Management.pdf

外国人旅行者は複数の施設に同時に問い合わせることが多く、最初に丁寧に返信した施設が予約を獲得する傾向があります。深夜や早朝の問い合わせに対応できない体制では、どれだけ施設の魅力が高くても機会を逃してしまいます。

AIエージェントの活用による解決策

こうした課題に対し、近年急速に広がっているのがAIエージェントを活用した多言語自動対応の仕組みです。

従来のチャットボットと異なり、最新のAIエージェントは文脈を理解した上で自然な会話形式で対応でき、予約・決済・フォローアップまでを一貫して自動化できるものも登場しています。これにより、スタッフが不在の時間帯や、言語対応が難しい問い合わせにも24時間365日対応することが可能になります。

日本の観光施設で起きている問い合わせ対応の課題

多くの施設では、いまも問い合わせ対応は営業時間内・人力が前提です。日中は電話やメールでの対応が中心となり、夜間や早朝に届いた問い合わせは翌営業日まで返信できないケースが一般的です。

英語での問い合わせには、英語が話せるスタッフがシフトに入っている時間帯のみ対応可能、というルールを設けている施設も少なくありません。土日や繁忙期にそのスタッフが不在の場合、対応そのものが止まってしまいます。

多言語対応が必要な場面では、、翻訳アプリや通訳機器を使いながら、その場で対応している施設も少なくありません。予約サイトを経由した問い合わせは、OTA側の管理画面を一件ずつ確認し、手作業で返信する運用になっていることも多いようです。

こうした体制は、担当者が丁寧に対応している限りは機能しますが、担当者が不在の場合や、問い合わせが同時に複数重なった場合に、迅速な対応が難しくなります。人手不足が続くなかで、この「属人的な対応力」に依存し続けること自体が、施設にとってのリスクになりつつあります。

多言語対応の基盤として注目されるWhatsApp

AIエージェントの活用において、プラットフォームの選択も重要な要素です。世界180ヶ国以上で30億人以上が利用するWhatsAppは、国際的な問い合わせチャネルとして有効です(Meta社 2025年Q1発表 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000174967.html)。

メールの開封率が約20〜25%であるのに対し、WhatsAppのメッセージ開封率は95〜98%とされており、送った情報が確実に届きやすいと言えます。(WizMessage「WhatsApp Business Statistics 2026」 https://wizmessage.com/blog/whatsapp-business-statistics)。予約確認や事前案内、来場後のフォローなど、顧客との接点を継続的に持ちやすいという特性もあります。

私たちikuraは、Meta社(WhatsApp)のテックプロバイダーとして、「AIインバウンド担当」を開発し、50言語での24時間の自動対応を提供しています。予約前の問い合わせから決済・来場後のフォローまでをワンストップで自動化することで、人手をかけずにインバウンド対応品質を高める仕組みを提供しています。

テクノロジーは補助ではなく、対応力の柱へ

宿泊業・飲食業・体験施設における人手不足は、採用だけで解決できる水準を超えています。有効求人倍率2.53倍という数字が示すとおり、人材市場は構造的な供給不足の状態にあります。

一方で、AIエージェントや多言語自動対応の技術は、数年前とは比べものにならないほど実用的なレベルに達しています。テクノロジーを補助的な手段としてではなく、インバウンド対応の中核的な仕組みとして位置づける施設が、今後のインバウンド市場での競争力を維持していくことになります。

人手を増やすことが難しいなかでも、問い合わせ対応や予約導線の質を高める方法はあります。インバウンド対応を人手だけに頼らない体制づくりの一歩として、AIエージェントの活用を検討してみてください。。

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